信州みその原点は佐久市にあった! サンラインエリアから世界に羽ばたく【発酵シリーズ①】

コラム 2021.07.09

日本の伝統的な調味料であるみそ。日本では、食文化の変化にともないみその消費量が年々減っていると言われていますが、その一方海外では、健康的な食生活への関心などにより注目が集まっています。2013年、和食がユネスコ無形文化遺産として登録されたことを追い風に、みその海外での需要は年々拡大しているようです。

日本では全国各地でみその製造が行われていますが、生産・消費されている約5割を信州みそが占めているというから驚き! 長野県には数多くのみそ蔵があり、サンラインエリアにも、上田エリアに11、佐久エリアに9の蔵があるようです。今回の記事では信州みその歴史と、多角的なマーケティングで人気を集めている2つのみそを中心にご紹介します。

信州みそは、鎌倉時代に佐久市のある寺から始まった

まずは、信州みその歴史をさらっとご紹介しましょう。信州みそは、米麹と大豆で作られる米みそで、淡色&辛口が特徴。始まりは、さかのぼること鎌倉時代。中国に渡りみそ作りの技術を学んできた心地覚心という僧が、自身が創建した安養寺でみそを作ったことによるそうです。その安養寺があるのが、サンラインエリアの佐久市! 信州みそはサンラインエリアが発祥だったのです。

その後、戦国時代には、武田信玄が兵糧としてみそを作らせたことにより、信州でのみそ作りが盛んになったそう。大正時代には、1923年の関東大震災により首都圏で多くのみそ蔵が被災してしまいます。その時、被害の少なかった信州から救援物資としてみそが運ばれ、その味の良さが評判を呼び、発展していったようです。

【参考】
信州MISOラボ 長野県味噌工業協同組合連合会『信州味噌の魅力を発信!信州みそ巡り

芳醇な香りとコクが絶品! 佐久市の「安養寺みそ」

時代を経て、信州みその原点となる味を私たちに届けてくれているのが、佐久市にある和泉屋商店。江戸時代創業の老舗みそ蔵が、安養寺みそを作り続けています。

この安養寺みそ、食材からこだわっており、佐久平で収穫された豆100%、長野県産米100%、天然塩を使用。みそは通常2~3カ月熟成させるそうですが、中赤色をし、中辛口な安養寺みそは、なんと熟成期間が2~3年間! 特徴とも言える芳醇な香りとコクは、この長期熟成が醸すおいしさのようです!

佐久エリアでは、この安養寺みそを使ったご当地グルメがあります。それは、今や日本の国民食とも言えるラーメン。佐久商工会議所と佐久市内のラーメン店主が、試行錯誤し安養寺ら~めんを生み出しました。

安養寺ら~めんの条件はただひとつ! 味噌だれに安養寺みそを80%以上使用すること。麺の種類やトッピングについては各加盟店のアイデア次第。よって、各店オリジナルの安養寺ら~めんを楽しむことができるのです! 2021年6月現在で、安養寺ら~めんを提供しているお店は16店舗。各店を食べ比べるのも楽しそうですね。

※写真はイメージです

ラーメンの他にも安養寺ぎょうざというご当地グルメもあります。餃子といえば、酢醤油がスタンダードですが、このぎょうざは、安養寺みそを使った特製みそダレで食べるもの。2021年6月現在で、安養寺ぎょうざが食べられるお店は、ラーメン店や居酒屋など14店舗。佐久エリアにおける安養寺みそ熱は、ますます高まっているようです。

【参考】
信州佐久安養寺ら~めん会事務局『安養寺ら~めん

パンやスイーツなどコラボ商品多数。上田の「奏龍みそ」

サンラインエリアにはまだまだ魅力的なみそがあります。次は、上田市で人気の奏龍(なきりゅう)みそをご紹介します。この奏龍は、上田市上丸子にある大桂商店が手掛けています。みそ本来のおいしさを味わってほしいと、蔵出し量り売りを貫いているとのこと。奏龍みそは、上田市の武石地区で契約栽培している大豆、地元米、沖縄のシママース塩を使用。ふくよかでバランスの良さが光り、豊かな香りが特徴だそうです。

さらに、奏龍大吟醸というみそもあります。原料に、上田市の塩田地区で古くから栽培されている在来種大豆こうじいらずを使用しているのが特徴です。

※写真はイメージです

その名の由来は「この大豆を使えば、こうじが要らないくらい甘くておいしいみそができるから」だそう。希少でなかなか全国の流通には乗らないため、幻の大豆と呼ばれているのだとか。

さらに、奏龍はさまざまなコラボ商品を展開しているのも魅力です。ラーメンをはじめ、パン、洋菓子などなど。スタンプラリーのキャンペーンを行い、ラーメン好きの人、スイーツ好きな人など、ジャンルを超えて奏龍ファンを増やしていました。

筆者もファンの一人で、スタンプを集めて奏龍オリジナルレンゲ奏龍オリジナルTシャツをもらい、現在も愛用中です。

ちなみに奏龍という名前は、武石地区にある鳴き龍(床と天井や平行な壁の間で、拍手などをした時に起こる多重反響現象のこと。フラッターエコーとも言う)で有名なお寺にちなんで付けられたそうです。

【参考】
JA長野県 長野県のおいしい食べ方『甘くておいしい!ウワサの大豆でみそ作り
信州上田「奏龍(なきりゅう)」の会『TOPページ

信州みそについてもっと知りたいなら、見学&体験教室

ここまでお読みいただき、「信州みその魅力をさらに知りたい」「作っているところを見てみたい」という人もいるのでは。サンラインエリアでは、見学できるみそ蔵、みそ作り体験教室ができるみそ蔵があります。以下の各サイト(信州MISOラボ 長野県味噌工業共同組合連合会サイトより)に対応しているみそ蔵の紹介がありますので、チェックしてみてはいかがでしょう。五感をフル活用して、信州みその魅力をぜひ体験してみてください!

見学できるみそ蔵一覧はこちら
みそ作り体験ができるみそ蔵一覧はこちら

※コロナ禍や繁盛期、混雑期などにより、中止している場合もあります。事前に電話などで問い合わせてください。

【参考】
信州MISOラボ 長野県味噌工業協同組合連合会『みそ蔵を探す

みその魅力を再確認してみては?

サンラインエリアにおける信州みその世界、いかがでしたでしょうか?歴史と情熱とこだわりが作り上げるそのおいしさ。日本のソウル調味料みそってすばらしい!

上記でご紹介したみそ&みそコラボ商品以外にも、サンラインエリアには、みそ漬け、みそせんべい、みそポップコーン、みそソフト、みそプリン、みそかりんとうなど、さまざまなみそ商品があります!

また、おうちで手軽にみそ料理を食べたいあなたにおすすめしたいのが、みそおにぎり。おにぎりを作って、そこにみそを塗るだけです。みその旨味をダイレクトに感じたいなら、焼かずに食べてみてください。

今や日本のみならず世界進出が著しいみそ。毎朝みそ汁をいただくなどいつもの食生活にみそを取り入れている人はもちろん、最近ちょっとご無沙汰の人も、みそを味わう生活を送ってみてはいかがでしょうか。その際はサンライン発祥の信州みそを、ぜひどうぞ!

【参考】
GD Freak『味噌(みそ)の家計消費支出
株式会社マルコメ『海外での取り組み
ひかり味噌株式会社『海外事業