適当なようで、やると言ったらやる。サウナと断熱賃貸に情熱を注ぐ人~御代田町在住 大北達也さん~

インタビュー 2021.06.17

周囲から「うまたつさん」の愛称で呼ばれている、大北達也さん。東京のIT系サービス業の企業に務めながら、2018年に御代田町へ移住しました(※現在は一時的に軽井沢町の賃貸住宅に居住中)。軽井沢や御代田への移住を決めた(または検討している)方たちからは、「うまたつさんのSNSとブログを読んで情報収集しました」「うまたつさんに直接相談しました」という声が聞かれるほど、このエリアの情報を積極的に発信されています。

本業のほか、(株)はたらクリエイトのアウトドアオフィス計画や稲作など、地域のさまざまな活動に関わっている大北さん。今一番熱い関心事は、サウナビルドと高断熱賃貸物件を建てること。「大北さんの周りではモノゴトがどんどん動いていく」という印象を持っていた私たちは、どういった思いで活動されているのか、インタビューから探ろうと思っていました。

ところが、大北さんから発せられる言葉の多くは、
なんも考えてないっすけどねぇ
いや、全然覚えてないっすねぇ

私たちはインタビューを進めながら、少しずつ焦り出しました。本当に何も出てこなかったらどうしよう…。とにかく聞くしかない

バレエがとにかく嫌だった、かなり普通の少年

ーー大北さん、東京生まれ東京育ちですよね。小さい頃はどんな子どもだったんですか?

大北:そんな前の話から? うーん、全然覚えてないっすけどね。かなり普通の少年でしたよ。幼少期は一人で遊ぶのが好きな子どもだったのかな。砂場で黙々とトンネル作って、水を流して遊んでいたらしいです。あとは、バレリーナだった母親の影響でバレエを習っていました。

ーーへぇ、意外! 何年生までやってたんですか?

大北:3年生かな? 男の子って少ないじゃないですか。とにかく嫌で、辞めさせてほしいとずっと言っていたんです。父の転勤で群馬に3年間だけ住んでいたんですけど、引っ越してもバレエだけはやらされて。東京でも少ないのに、群馬とかまじでいなかったですからね! それはすごい嫌だったの覚えています。

ーー他のことは全然覚えていないのに、バレエに関する記憶は強烈だったんですね。学校ではどんな感じでした?

大北:小学校の時が一番モテてましたね。自分で言いますけど勉強はできたし、スポーツも微妙にできたんで。学級委員とかやってました。一転、中高は暗黒時代。1学年1,500人とかいる有名私立学校に行ったんで、ひっそりと過ごしていました。

ーー暗黒(笑)。なぜですか?

大北:部活は本気の人がやるって感じだったので、勉強頑張るしかなかったんですが、さぼってましたね。ずっとゲームしてました。あと、中学からラジオを聞きはじめて、ハガキ職人やってましたね。ちなみに「うまたつ」というあだ名は、「ペンネームうまたつ」から始まってるんですよ。中学から使っています。

ーーえ、中学時代から? 割と歴史が長かったんですね。よく聞いていた番組は?

大北:全然覚えてないっすね。深夜の3時から5時までの番組まで聞いて、学校で寝るみたいな生活してました。

SNSやブログでの発信力。そのベースは、中学時代のハガキ職人の経験で培われていました。番組で取り上げてもらえなくても、送り続ける。こういった「自分がやりたいと思ったから、やる」というスタンスは、砂場で黙々とトンネルを掘っていた頃から続いているものかも知れません。

高校2年からは勉強にも本腰を入れ、成績最下位クラスから最上位クラスまで一気に浮上。昔から理数科目が得意だったにも関わらず、国立大の社会学部を選んだ理由は、「偏差値表やセンター試験の点数配分を見て、入りやすさで決めた」。ほんと不純ですよね、とニヤニヤ。話は大学時代から結婚、御代田町への移住に続いていきます。

東京で保活・家探しをするモチベーションがなかった


ーー大学の頃の思い出を聞かせてください。

大北:大学ではスキーサークルに入りました。スキーはあんまり真面目にやっていなかったんですが、白馬にはずっといました。ペンションで働くとリフト券もらえて滑り放題みたいなプランがあって、それを使って。白馬での生活が楽しくて、スキーに関係なく夏も行っていましたね。その頃から東京・白馬の2拠点生活でしたよ。

ーー白馬だった理由は?

大北:白馬、きれいじゃないですか。単純です。それに、居候させてもらった宿がすごくよかったんです。その家に子ども3人いたんですけど、ずっと遊んでましたね。仕事として料理や皿洗い、掃除などを経験できたのも、今の主夫力につながってます。

大学のスキーサークルで知り合った妻の優美子さんと26歳で結婚し、現在は4歳の娘と0歳の息子の4人暮らし。優美子さんは軽井沢にあるインターナショナルスクールで人事として働いているため、家事や育児は分担制。「クオリティは別として炊事、洗濯、掃除、子どもの世話など、一通りのことは全部できます!」と大北さん。

ーーそこから長野との縁が始まっているんですね。

大北:その頃は白馬、志賀高原、野沢温泉と北信ばかり行ってました。軽井沢には、結婚式をきっかけに遊びに来るようになったんですよ。

ーー軽井沢・御代田エリアに移住を決めたきっかけは?

大北:妻の妊娠がわかって、渋谷区役所に母子手帳をもらいにいったら、その場で「認可保育園入るのは難しい」と言われたんですよ。無認可保育園も調べたんですけど、保育料の高さにさらに驚くといった感じで…。東京で「保活」をするモチベーションがなかったんですよね。

ーーなるほど。

大北:あと、家族が増えるタイミングだったんで引っ越しを検討したんですけど、マンションとか土地が高すぎるんですよ。かといって郊外に購入したら、満員電車で通勤しなきゃいけなし。それが本当に嫌でしたね。

ーー毎日とか辛いですよね…。

大北:家を探すのに、全然ワクワクできなかった。家決めるのって、大きな買い物だから、どうせなら遊び心を持って取り組みたいし、自由に楽しく暮らせるようにしたいじゃないですか。だから、東京からギリギリ通える距離で、比較的土地勘のあるという理由で、軽井沢周辺に決めました。

ーーなるほど。移住すると決めてからは、どういった感じで準備進められたんですか?

大北:…全然覚えてないっすね。何したっけなぁ。だいたいいつも適当なんすよ。

実は大北さん夫妻よりも前のめりだったのが、当時福岡に住んでいた優美子さんのお母さん。移住の計画を聞き、御代田に遊びに来てみたら一目惚れ。すぐに土地を購入されたらしく、そこから一緒に移住することになったようです。達也さんは「勢い、大事っすね」と、人ごとのような口調で語ります。

「飲みに行きましょう」が嫌い。やると言ったら、絶対やる

ーー大北さんの周りには、人がたくさん集まっているような印象なのですが、積極的に声をかけようって、意識してます?

大北:別に集まってないですけどね。あぁ、でも「声をかける」はやります。だって自分でできないから(笑)。屋根登ってDIYするとか…。非力なんで。できる人にやってもらったほうがいいという時は、声をかけますね。

ーーそういった時のためにも、普段からつながり作っておこうと考えていますか?

大北:全然意識してないですね。でも面白そうと思ったら、自分からどんどん関わりに行きます。よく考えると、昔から「巡り巡って代打」みたいなパターン多いです。リレーの補欠だったのに、早い子が怪我して、選ばれるとか。やりたいと思ってないのに推薦されること多かったです。巻き込まれるんですよね。

ーー私たちは大北さんが巻き込んでると思ってるのに、ご本人は巻き込まれてると思ってるんですね。私は大北さんが求心力となる何かを持っていると思うんですが…。

大北:結構淡々とやってますよ。でも、「やる」と言ったことは、やってるつもりあります。やるやる詐欺みたいなのはやらないですね。

ーー確かに、有言実行タイプですよね。

大北:「飲みに行きましょう」が一番嫌いなんですよ。誘う気もないのに言いやがってみたいな。僕は本当に誘うときしか声をかけないし、「やる」といったからには絶対やります!

ーーちゃんとアクションが伴うから、人が集まってくるのかな。大北さんがいると、物事が動く感じありますよね。

大北:それは上司にも結構言われます。「なんかよくわからないけど、仕事が進むな」と。ありがたい言葉ですよね。僕、なんもしてないですけど。上司に重宝されてるっぽいですね。


ーーこの先の夢、聞いてもいいですか?

大北:今やりたいことといえば、高断熱賃貸物件を作ることですかね。

ーー軽井沢・御代田あたりにそういった賃貸物件がないという話はよく聞きますが、なぜそれを?

大北:求められてるから、ですかね。このあたり、本当によい賃貸物件ないんですよ。寒い家が多くて、エネルギーめっちゃ無駄使いしてる。光熱費を抑えながら健康に暮らすことができる断熱賃貸住宅を作って、それを体験できる場所ができたら、移住したいと思う人ももっと増えるんじゃないかなと思いますね。

ーーすでに計画は進んでいるんですか?

大北:まずは自宅兼賃貸併用という感じで、小さく始める予定です。ここをきっかけに断熱やエコハウスを体験してもらい、事業としても広げていけるといいなと。あとはやっぱり、サウナです。フィンランド式の薪ストーブサウナの柔らかな暖まり方と、自然の中での外気浴。この異次元の気持ちよさを広めていきたいっすね。

会社から支給された臨時ボーナスを全投入して購入したテントサウナ

ーーそう思ったきっかけは?

大北:野尻湖にある「The Sauna」に行ったことですね。めちゃくちゃよかったんですよ。あれを近くに建てたいなと。それで、はたらクリエイトさんに「オフィスにサウナ作りましょうよ」を声をかけ、そのプロジェクトに関わっています。


ーー「めちゃくちゃよかったから自分でも建てたい」と思うところが、大北さんらしいというか…。

大北:はたクリさんのオフィス周辺を「アウトドアサウナパーク」にしていきたいですね! 。いつも適当なように見えますが、できることしか言わないっす。

断熱賃貸物件とサウナパーク建設計画は、着々と進んでいるようです。「やるやる詐欺」が嫌いだという大北さんは、面白そうなことを見つけて、発信し、仲間を集って実行するというプロセスを、とても自然にやってのけてしまう方なんだなと感じました。

大北さん、ありがとうございました!

大北達也さんのTwitter

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